ハリウッド映画でのアクションシーンがある映画にはほとんど出演しているハンヴィー。またそれにあわせて一人称視点の戦争ゲーム(FPS)の精密描写化が進み、架空世界でハンヴィーやストライカーが乗り回せる昨今、小学生までもがハンヴィーという名前を知っている時代になりました。最近ハンヴィーの人気を高めたゲームは「バトルフィールド3」でしょうか。ツイッターで「ハンヴィー」と検索すると、10代の「ハンヴィー乗りてえ~」などのつぶやきが1日に3~5件あたりの勢いで書き込まれています。
そういった若い世代とは限りませんが、あまり詳しく知らないでハンヴィーとハマーの境界線を引きたがるのをネット上でよく目にします。同時に優越を付けたがるケースも多い。ではどっちが優れているのでしょう?答えは何を基準にするかで、H1が優っている答えになったり、ハンヴィーが優っていたりと、変わってしまいます。ましてや最初のH1(当時はHUMMER)アーリーモデルは24Vで前座席と後ろ座席の間に梁もあり、装甲部分である車体上部とドアが外されただけでほぼハンヴィーの状態だったと聞きます。なのでアメリカ人はほとんど区別せず、呼びなれていたハンヴィーという名前でH1も呼んでいます。
最近のニュースですが、一般用に販売が完了してから数年がたった現在、HUMMERブランド名をもうAMゼネラルが使用できないためか、HUMVEE-Cシリーズという、シビリアン(一般)用キットーカー(エンジンのない状態のパーツ再販)を50台一般用に販売することが決定したようです。今後ますますアメリカではH1かHUMVEEかの名前に違いはなくなってくるでしょう。
では具体的にはどう違うのでしょう?走行性能では確実にH1が優れています。(アルファ6.6ℓ「300HP」vsHMMWV6.2ℓ「150HP」)装甲の強度では断然ハンヴィーが優れています。重さこそH1が3.4tなのに対し、M1114だと5.49トンと2tの開きがあるわけですが、これらもそもそもマルチパーパス(多目的)という本来のハンヴィーの意味合いからすれば、H1は悪路走破性を重視したハンヴィーのひとつの形状と言えるでしょう。つまり装甲の重視性が全く必要ない民間人が所有するモデルとしては、究極のカタチではないでしょうか。
民間車の製造経験のない
AMゼネラル
有名な話だけど市販化が実現できたのはシュワちゃんのおかげ
とにかく米軍は第二次世界大戦以降、派生しつづけた目的ごとの車輌を単一車輌で開発し、整備の簡易性をパーツ供給の一元化を目指していたとか、試作車を製造した3社のうちの1社AMゼネラル社のプロトタイプがまんまと採用された訳ですが、ハンヴィの正式採用前にF.M.C社が陸軍に提出した試作車がこのXR311
84年に生産開始、翌年85年から正式採用されたハンヴィーはそもそも市販化なんて全く考えてなかった車輌。シュワちゃんの熱い要望によってシビリアンハンヴィーは92年に誕生したとか。(右youtubeはその時の映像)
シュワちゃんの思わぬ宣伝効果もあり、ある程度の販売の目途がたったAMゼネラルは93年リミテッドエディションとして限定台数を販売。内容はほぼハンヴィーのまま。前席と後部座席の間に梁があるままなので、シートがほとんどスライドできない上に24V。当然助手席の下にあったわけです。AMゼネラル自体が市販車を作った経験もなければ、そんな小ロッドのために、いちいちいろんな民生パーツを開発・製造してちゃ身が持たないとふんだようで、ほとんどの内装パーツは他メーカーの流用パーツとなっていしまっとる訳です。
リミテッドエディションでおしまいになるはずだったシビリアンモデルは、問い合わせが殺到し、結局93年以降ディーラーを通しての市販化が始まったようです。94年から6.2ℓから6.5ℓにアップそこから先もどんどん市販車としての進化をしていったのであります。
初めての市販車1台目もDドアだったのね
94年→6.2Lから6.5Lへ 3速ATから4速へ
95年→ディーゼルからガソリン車へ
96年→ヒューエルサブタンクを追加
→燃費が悪すぎてディーゼルに戻る
97年→ヘビーデューティーリアバンパー装備
その後も変更はあるけどミリタリーマニアにはあまり興味のない変更点なので割愛させていただきます
ここで気をつけなければいけないことは96年からサブタンクが導入されており、リアバンパーを外したhumveeタイプをつくる難易度が格段と上がるので、サブタンクがついているH1はリアバンパー付きhumveeタイプにしていくのがベストだということ
まずはカラーから
NATO迷彩は難易度(高)中東での昨今の活躍を考えるとサンドベージュがベスト
模様の位置まで決まっているNATO迷彩は、あのかすんだ色を出すこと事態非常に難しいことだと思われます。街乗りのことも考えてサンドベージュが無難といいますか、難易度が極端に低くなりますのでお勧めです。H1には最初からサンドベージュの車体もありますが、つやありといったところです。ここは全塗装でいきたいところです。今回自分は、ミリブロのスラントバックという名前のブロガーでもある武器商人T氏にお願いをして後から基地内で塗られたであろうサンドベージュのアンテナマウントをお借りして色を出してもらうことにしました。
ODの上から塗られたサンドベージュはすごくざらついてました。色調を表現すると3Cカラーの一番明るいベージュの色に結構近いものがあります。どちらにもいえることですがCMYKで表現すると少しマゼンダのパーセンテージが多く感じられます。その瞬間株式会社シカゴレジメンタルス(無可動実銃専門店)の佐藤さんが劣化が進むとサンドベージュのハンヴィーはピンク色が強くなってくると表現されていたのを思い出しました。
今回はこの資料をお借りして色を出してもらうことになりますが、武器商人T氏のお話ではレストア用にアメリカにある水性サンドベージュを入荷させる方法もあるようです。焼付けするのに100何十度かの塗装室で何十時間か乾燥させるらしいのですが、残念ながらアメリカでも人気が高く知り合いのところに在庫がなかったようです。全塗装用の塗料ってどのくらいの量を空輸することになるのか定かでありませんが、液体の輸入もT氏だったら難なくクリアーできそうな気がします。
ちなみに気なる全塗装のお値段ですが、スカイオートさんの相場では40万弱です。2回お願いして2回ともそうでした。今回はインパネの部分など室内もお願いするので少しここに書いた値段より払うことになりますが、結構わがままを言ったにも関わらずリーズナブルなお値段でやっていただけました。
ミリブロ:スラントバックのT氏よりMILカラー情報頂きました。参考にしてください |
詳細はミリブロ:スラントバックのT氏のブログでも今後UPされるようです。是非興味がございましたら、T氏のブログへ |
リアバンパーを外すと後ろからタイヤがむき出しで見えるので、足が長くなったように見えます。
カスタム前OEMのスラントバックを装着時
スラントバックもリア部分が直角なため、バンパーと合わせたリアの真四角面積が多く「のぺっと感」が否めないただ単純に上の状態からリアバンパーを外した状態。これだけでもかなり見た目は変わりますスラントバックの後部をFRPで角マルにほぼHUMVEEと形状が近づいている状態
実際中東で活躍中のハンヴィーはリアバンパーを装着したものが多いのですが、これはオーナーの好みだと思います。自分はバンパーがなくてウサギが4本足で踏ん張ってるように見えるリアバンパーなしの状態が非常に気に入ってます。もちろんリアバンパーありも好きですが…
リアバンパーを外してバンパーについていたフックをそのまま装着してハイ完成。そんなわけもいきません。ただ外した状態だと車体を支える部分とバンパーをボルト止めしていたシャーシにつけている金具部分が出てきます。
もともとついていた金具を切断してリアバンパーなしのハンヴィーのパーツを作られたH1を見たことがあります。すばらしい出来でした。自分にはそんなことをできるガレージも、知人もいませんので、アメリカに発注。この時はスカイオートさんにお願いしてKASCAR_Real4WD.comさんに発注をかけてもらいました。
で到着したのがこれ。手で持っている三角形の金具をリアバンパーを固定していた金具と交換します。上の丸い穴が車体を支えている部分です。
三角形のパーツが左側の黄色。長い板のようなパーツが右の黄色の部分にボルトで止めます。上で書いたように車体(青色部分)とシャーシ部分の接合部分なので個人の工具では出来ない作業です。そしてもともとリアバンパーについていたフック(赤色)をつけてリアバンパーのないハンヴィーと同じ形状になります。
足回りまでサンドベージュに塗っているリアバンパーなし資料
リアバンパー取り外しに掛かったコストは工賃合わせて20万の半ばだったと思います。